2021年12月12日日曜日

橋を渡る


 橋を渡る

吉田修一

2016


あれ、、、本ってこんなに面白かったっけ、、

今年、触れたエンターテイメントの中でナンバー1の面白さでした。

いや、まじで。


ビール会社の管理職、都議会議員の妻、テレビディレクターであったりと

暮し向きが良さそうで羨ましい3人の主人公たちなんだけど、、

どこか空虚で満たされない『不感』の心理描写が秀逸。

なんだか終始、天気が曇り、曇天な文の運び。

アンニュイ感が心地良く読み進められました。


個人的にこの本の中で一番、好きな文章。雨の湿り気を感じさせる繊細な描写。


『明良は大きな雨粒が、叩き始めた窓へ寄った。

 窓は閉め切っているが、庭を濡らす雨の匂いが室内まで流れてくる。』

(本文 p62より)


日本語って豊かだなぁ。いいなぁ。。。

・・・


ところがですよ。このアンニュイ感、後半、吹っ飛ばされます。

世界観の変化に喰らいました。


世界観!?てな感じです。

このぶっ壊し方はエンターテイメントですよ。

映像作品でこれをやろうとするとまぁ大変だと思います。

でも、映像作品でいつか観たい。。。

そして相変わらず、後半でも主人公たちの心理描写が上手すぎるので、

世界観は全く、崩壊していないんです。成立している。

前の章から地続きの物語である事がわかる。

アンニュイさ、不可解さを多少残しつつも未来に希望を繋ぐ

エンターテイメントとして〆。


音楽、映画と今年もちょこちょこ触れてきましたが、

今年一番やられたエンターテイメントはこの本でした。


850円(税抜き)でこのエンターテイメントは安い。。。

8500円でも決して高いとは思えないです。(主観)


ちょーおもしろい!

2020年4月7日火曜日

THE ANYMAL



Suchmos
“THE ANYMAL”
2019

10代、20代の日本のアーティストを聴くと、なんだか応援したくなってしまう。
『カッコイイ』よりも『応援したい!』が先行してしまう。。

私が30歳を過ぎて、オッサンになりつつあり感傷的になっているのか。

あるいはそのアーティストの元ネタがビートルズなり、昔のレコードの
アレだな。なんて思う嫌味なオッサン感が昇華して、
応援したいというポジティブマインドが生まれたのだなと思う。うん。

初めて『応援したい!』と思ったアーティストはNegiccoだったかなと思う。

新潟のフェスで何気なく、初めて聴いてみたのだけど、、、
すごく良くて目がウルウルしていた記憶。
その時、27歳だったかな私笑

このノスタルジー溢れる田島貴男氏の
跳ねる様なシンプルなギターリフとネギ3人の直向きさ。
この組み合わせに私は涙したのだなぁと。

ピュアで真っ直ぐ、でも音楽的バックボーンがビシッと。
そんなバランスにやられました。

去年のSUCHMOSの新譜も、このバランス感を持っているなぁ。
最高だなぁ。と今更聴いてます。
若いアーティストが、こんな古臭い、60〜70年代のレコードの
音を今やっちゃう感じ。たまらんです。
一曲5分超えがザラ。流行らないだろうなぁ。笑
流行りが無い分、再評価されそうな気がプンプンします。

Tame Impalaがサイケで70sな新作を出している事を考えると、
じきにサチモスの方がサイケ早かった。やべぇってなるかも。。

これは完全に蛇足ですが
ここまで古臭い音を鳴らされると、メンバーは
本当に古着好きなんだろうし、センスいいなぁ最高だなぁ。
と思ってしまうのです。

レコードで言えばビートルズのホワイトアルバム"Sexy Sadies”なんかを
かなり"In the Zoo”でオマージュしている感。
けどいい。かなりいい。
シティーポップの流行に楔を打ち込むかの様なサイケな曲。
ボーカルのゆらぎもたまらんだす。このボーカルの
ゆらぎ感(ヘタ感?笑)(褒めてます)は加藤和彦氏の
ボッサのアルバム『ガーディニア』の雰囲気にも通じてるかな。
日本語のボーカル響きが絶妙に楽曲にあってない?
いやあってる?なんて考えながら楽しく聴けます。

他にも、どんな曲かは分からないけど古い音がビンビンな
アルバムなので、家にあるレコードをほじくり返して元ネタを
ディグするのが楽しみになりそうです。

何はともあれ、こんな渋い音を鳴らせるサチモスが
ホント大好きです!応援してます。




2020年3月30日月曜日

30代はちょっとオトナに

10代は、直感の赴くままに。
20代は、広げるつもりで行動。

していたなぁ、、、

30代は、、、自分に優しく生きます笑


今年で32歳。
何も変わってねぇ、、、

むしろ10代、20代の時より感性は鈍った様に思うのです。
どんどん悪化してる、、、

10代のときは、思春期こじらせて古着屋とCD屋に通いました。
パンタロンみたいなフレアのスラックスを買ったり、
4,50年代のボロッボロのスウェットパーカーを
買ったりしたなぁ。。。
どうやって着たらいいか全然わからん服たち笑
あとCD屋も通った。200枚くらいは買ったのかな、、、


20代のときは、地方転勤の先々でお酒に溺れました。
でも、友人知人が沢山できて楽しかったな。
あと、サラリーマンになったので自由になるお金も増えたので、
ビンテージの古着や良いメガネにもハマりました。

なんて無為な日々を過ごしてるんだろう、、、、、
10代.20代はネガティブな心持ちが強かった様に思います。
ヤバイよ俺。勉強もやる気が出ない、、仕事も出来ないし、
何すりゃいいんだ、、、、
とりあえず人より古着楽しんで、映画観まくろう!!!
なんていって私の10代、20代が過ぎていきました。

背徳感を抱えた10代、20代だった様に思います笑
思えば、高い買い物(ビンテージ古着やメガネなど)を
する時はいつだって罪悪感を感じていました。。。
『こんな高い服買ってどうすんねん』
『モトがとれるんかいな』
俺の中で、俺と俺が戦うってな感じでしょうか。

けど、この背徳感って意外といいもんじゃないでしょうか。
うしろめたいけど、俺やりたいからやるせ。
ピュアな自分の裏返しこそ、背徳感なのでは。
感性が鋭い10代、20代だからこそトンガっていて持つことが
許されるのが、デカい買い物の背徳感では無いでしょうか。

30代の今、なんかトンガリはもう無くなりました、、笑
嫁さんの手前、背徳感ある買い物は出来ません笑
ですし、クローゼットをぱんぱんにしてるのも
スマートじゃないかな、、、と思うようになりました。

10代20代で、趣味の大枠は固まったのかなと。
そんな自分の趣味、キャラの大枠を踏まえた上で、
自分と対話した上で、自分に優しく、家族に優しく、社会に
優しいチョイスを趣味や買い物で出来ればいいかなと
30代の抱負を思いついた次第です。




2020年3月19日木曜日

好きなブログ

マツダ・ポルシェ以外で興味深い現行モデル・ベスト15 その3

クルマを買い換える予定は全く無いのですが、
いつも、とても楽しく読ませて頂いております。

クルマのことを調べようと思うと、ネットには情報が
本当に沢山あります。1年前、軽自動車を新車で
購入する際、情報がありすぎて溺れてしまいました。
スマホ見すぎて目がヒクヒク。新婚旅行先のイタリアでも街行くクルマを
目に焼き付けるべく、ガン見してました。
観光地よりも、興味を持って眺めてたかもしれません、、、
嫁さんには申し訳なかった、、、、
閑話休題

このブログは、1年前に情報収集してる中、偶然発見したブログです。
忖度無しで、カー雑誌のクルマレビューにバッサバッサと
斬り込んで行くブログです。カーメディアへのレビューも
さることながら、メーカー最大手のT社への激しいコメントが笑
忖度が無い!笑
他に、こんな激しく熱くカーレビューをしてる
ブログは見当たりませんでした笑

マ◯ダ社びいきの方なのかな?と思いきや、そんなこともなく
各メーカーの歴史、世界の自動車のトレンドを踏まえた上で、
現行車種のレビューをされており、とても面白い。

ネットで欲しい車種の検索をすれば、
公式HP、交流SNSなどから膨大な情報にアクセスができます。
が、、、タイアップの記事であったり、購入したことのない試乗された方の
レビューが多かったりします。鵜呑みにしてはいけない。自戒。
会ったことも無い人の話を、簡単に鵜呑みに出来るのが
ネットの気をつけたい所です。

もちろん、私はこのブログの方と、直接お会いした事も
ありません笑
が、少なくとも血の通った、熱い文章であり
私は大いに共感を覚えています。
自転車のお話や、読書の話も織り交ぜながら、
激しい言葉遣いもユーモアとして捉えてます。
信じるに足るブログ記事だと思っています。

こういう方からクルマを買いたい。
人から、モノを買う、というのはまさにこれなんだろうなぁと
思います。

思えば、中学生で遊戯王のレアカードをネットのBBSで交換するという
経験以来、ネットが自身の価値観を作ってきました。
持っている腕時計はネットでレビューをみて買ったし、古着屋も
ネットでみつけて、行ったりしました。

ネットで血の通ったコンテンツを見つけえ楽しむってのは
いいですね、やっぱし。

2020年3月12日木曜日

外こもり

 
最近の休日は、スポーツバイクを漕ぐか、読書をしているか。。
住むところ変われば、日課も変わるものですね。
飲みにいくことが難しい地方都市に転勤になってからというものの、
1人で楽しむ日課に、のめりこみ気味です。
チャリはアウトドア。一人で楽しんでます。
読書はインドア。一人で楽しんでます。

“外こもり"
1人で楽しめる。且つ、自分の殻を破るべく
家から出かける事。ないしページをめくり、自分の外の世界に
思いを馳せる事。外にこもる、という表現がしっくり来ます。

自転車の風切音、アスファルトをタイヤがゴーっと転がる音、
季節の匂いには、なんとも言えない心地よさがあります。
読書を通じて、宗教の歴史、人間の生い立ちを学ぶ事が、
自分の仕事に対する考え方や、思い込みを解きほぐす事に繋がる気がします。

ただ、自転車も読書も、すぐ仕事の役に立つ事は無いです。

けど、楽しいのです。こころの栄養になります。



広告費、初めてネットがテレビを上回る、電通「2019年 日本の広告費


↑となると、ネットが最強の媒体なのか、、?

ネットがあれば、SNSがあれば、
田舎でも楽しく暮らしていける!最高だ!
なんて最近までは思っていましたが、、、、

こころの栄養という一点で
ネットより読書とサイクリングには一日の長があります。

2020年3月10日火曜日

501

群馬県は榛名にございます古着屋、
ドミツネさんにてリーバイス501を購入。

ベージュのリーバイス501
しかもイギリス企画の変わり種。



齢30を越えて、履くリーバイス501。
感動をしました。
程よく太い、クラシカルなシルエットの501は
今のトレンドだと思います。(普遍的だけど、特に今年はトレンド)

Supを始めとしたストリートのトレンドが収束し、2020年春夏より、
じわじわと上下セットアップの様なテーラードのトレンドが
押し寄せてきています。ただ、上下スーツのそのまま
テーラードではなくストリートの香りやメンズファッションの
機能美の香りをふりかけてある装飾性あるテーラード感。
(ここら辺はMB氏のメルマガに多いに勉強させて頂いてます)




ワーク、ミリタリーのジャケットよろしく
フラップのついたポケットがガッツリ。
パンツとトップスの色を揃えたり、ペールトーンの
ジャケットを着用したりで品の良さ、テーラード感を
しっかり担保しています。
(ネットの画像を見ているだけ。実物を見に行かないと、、、笑)


アメカジ野郎の私としてのテーラードとは何か?
それはリーバイス501に他ならない!
と501を履いて感じました。

クラシカルなシルエット。ゴールドラッシュのワークウェア。
100年以上前から存在するリーバイスのデニム。
歴史とワークの機能美に彩られた、無骨な素晴らしい
パンツであると思うのです。



2020年3月9日月曜日

パラサイト



パラサイト
2019
Bong Joon-Ho

観てきました。
ディストピアの世界観がカッケェ、と思いました。

上流階級と、そうでない人の格差が
住まいに強烈に描かれていて、やられました。

上流階級は、見晴らしの良いエリアに豪邸を構える。高級住宅地。

そうでない人。つまり、主人公のキム一家は『半地下』と呼ぶ、
日があまり差しそうも無い、ゴミゴミとした無機質コンクリの街中に住む。
下水道と同じ高さに部屋があるからだろうか、
水洗トイレがやけに高い位置にあったり、定期的に自治体が
近隣にホースでばら撒く消毒スモッグで、家族全員むせこんだり
なんか家の害虫を指でピンと弾いたり、スゴく香ばしい描写ばかり笑

思えばこうしたディストピアの描写は、昔からすごく好きでした。
ピクサー『ウォーリー』がいる2805年の地球。
FINAL FANTASYⅦの『ミッドガル』
AKIRAの『ネオトーキョー』
『マッドマックス 怒りのデスロード』などなど
『スノーピアサー』の国民のランクによって乗ってる車両で違うのも、グッときました。

何故、自分はこうもディストピア映画が好きなのか、、、?
手元にあるもので、生きていくしかない。
そんなタフな生き様に魅力を感じるのかも。

例えば、好きなディストピア映画には
『鉄』のギアが良く出てきます。
『鉄』を加工した道具で生き抜く、ないしは上流階級に
対抗をしていく様にヤラレるのかもしれません。
銃で、あったりオートバイであったり。
手元にある、クズ鉄だったりパーツを上手く組み合わせて
ギアを使ってる様は超クール。


が、本作で、キム家の4人が持っているギアはありません笑
あるのはお金のための強引さと、ハッタリ。
圧巻でした、、、、
これはこれで、タフなんだけどクールでは無い笑

こんなディストピアには住みたくないなぁ、、、
ぁあ、映画で良かった。
と締めくくる事が出来ない、後味の悪さでした。(褒めてます)
鑑賞後、背中がヒンヤリ来る感じ。

2020年は、『半地下』が私の流行語になりそうです。